備前百会灸誕生秘話


百会との出会い!!

備前百会灸®を作ったきっかけは、  鍼灸学校の学生の時に艾をひねって百会にお灸をする実習の時間のことでした。

先生が「どこかのお寺で今でも器の上に艾をのせて百会にお灸をしているところがありますよ」と、ちらっと言われたのです。

その話はそれで終わったのですが、私はその言葉が忘れられませんでした。 

髪の毛をヘアピンで止めて、ひねった艾で百会のツボにお灸すると、  髪の毛が多い人も少ない人も必ず3~4本焼けてしまいます。

髪の毛が焼けるのはみんな好きじゃないですし、タンパク質が焼ける匂いも好きじゃないですよね。

その時、頭の上に器をのせてするお灸があるのに、なんで今はしないのかなあって思ったんです。

ちょうど百会灸の効能など習っている最中で、百会のツボってすごいなぁと思っていました。

「卒業したら絶対に自分で作ってみたい!」と思ったのがきっかけです。

「お灸のイベント考えてよ」と先輩からの一言

山口県での日本良導絡自律神経学会のセミナーに、先輩鍼灸師の内田輝和先生と藤原秀雄先生と同行しました。

その帰りに岡山駅の近くで、内田輝和先生が、「ご飯でも食べるか」と言われ3人でお好み焼き屋さんに行くことになりました。 

話をしている中で藤原秀雄先生が「石部、お灸教室とかやっているけど、朝市でも何かお灸のイベントを考えてよ」と言われたのです。

その時、私は、「やるなら一般的なイベントではなく、ずっと秘めてきた備前焼の土で作る安心安全なほうろく灸がしたい!」と言うことを初めて口に出しました。

「それをしてもいいならやります!」と言ったのが始まりです。

 藤原秀雄先生と内田輝和先生とこのようないきさつがあった後で、備前百会灸の研究が始まったのです。

いざ備前百会灸®器作り!!

以前からお寺でお灸教室をしていたので、「器を作りたいな」と、そこの住職に話ました。

「友達が備前焼の工房をしているので紹介しましょう。」と紹介していただいたのが岡山市内の工房でした。

その工房の方に「こんな感じで作って欲しい。これくらいの大きさで…」とデザインや、見本に丼ぶりやお椀を持っていったり。

何度も相談し試行錯誤ながら作りなおしていただきました。 

最初は紐をつけようとしていました(器の穴はその時の名残でもあります)。

当時の私の下手くそな絵も残してあるんだけど…(笑) 

色々改良して今の形に近づいてきました。 

藤原史暁さんとの出会い!!

しかし、しばらくして、その工房が諸事情で閉店するということになりました。

さて、どうしようかということになりました。 

ネットでいろいろ調べていると、私の家の近くで備前焼の作家さんが大きな教室をされていました。

ある日曜日の休みの日に電話もせずアポ無しで押し掛けました。

工房はお休みのようでしたので、お家のほうのチャイムを押しました。

「作っていただきたい!」という思いなどをお話をさせていただきました。

その思いを受け入れてくださり、現在作っていただいています。 

その備前焼作家さんは、藤原史暁さんと言われます。

おじいさんは人間国宝の藤原啓さん!あとで知ってびっくりです。  

日本国宝の藤原啓さんの息子さんの敬介さんの陶芸を、史暁さんが引き継がれています。

備前百会灸®作成で苦労した点は?

安全で安心してできる百会灸を作るために、いろいろ調べたり工夫したりして試行錯誤して出来上がりました。

全体的には苦労したことはなかったように思います。 

しいて言えば備前百会灸®の金網のキャップでしょうか。

制作してもらうのに切り口の形をきれいに作ってもらうのが難しく、中々うまくできなかったことです。

 現在は、夜な夜な木づちを使って、自分で作るようになりました。

今後どうしていきたいですか?

「お灸に親しんでもらいたい」という最初の思いが変わっていなくて、これからもその思いで活動していきたいです。

備前百会灸®ならではの心地良さと良い体調の変化をきっかけにして鍼灸に親しんでもらいたいです。 

体調管理のひとつにお灸やツボでのセルフケアとして、そして病気の予防や体質改善に鍼灸治療を取り入れてもらいたいです。

自宅や仲間の人たちとツボのセルフケアや介護予防運動なども楽しく取り入れてもらいたいです。

そのために地域のふれあいサロンやイベント会場で、備前百会灸®だけでない活動も取り入れ、フレイル予防にもつなげていきたいと思います。 

  備前百会灸®の会代表   石部春子